海外支援従事者のひとり言

アジア、アフリカ、中東と緊急人道支援で渡り歩き、合間合間で旅に出る、半ノマド生活を送るパルワナが、海外支援で思うこと、旅の話、世界のこと、日本のことについて独り言ちます。

ちょっと深刻なマラリアの話

前回、コロナ・ウイルスに抗マラリア薬は効果ないという話から、

マラリア薬やマラリア予防策について書いた。

parwana.hatenablog.com

 アジア、アフリカ、中南米など熱帯、亜熱帯の国を訪れる時は、

どのような病気の危険性があるか事前に確認して

対策することがとっても大切。

こちらで病気を調べられる。

www.forth.go.jp

 

そして、マラリア予防も本当に大切。

結核HIV/AIDSと並び世界3大感染症の一つとして

年間推定3億人以上が感染し、50万人が命を落としているのだから。

マラリアが流行している国に行けば、

当然、日本人だって感染する危険性がある。

 

厄介なのは、日本に帰ってきてから発症する可能性もあるということ。

マラリアの種類によって潜伏期間は違い、

1~2週間程度で発熱や悪寒などマラリアの症状が出れば、

もしかしてマラリアかも、と思うかもしれないけれど、

種類によっては、潜伏期間が数か月から1年以上に及ぶものもあるようだ。

 

そんなに時間が経ってしまっていたら、

マラリア流行国に行ったことになど関連付けられず、

マラリアかもと疑うこともしないかもしれない。

一般の日本の病院でも、発熱、悪寒、筋肉痛、貧血など

他の病気の症状とも思えるこれらの症状を訴えて、

これはマラリアですね、と直ぐに診断してくれる医師はそうそういないだろう。

 

日本で生活していれば発症しないマラリアとは、普通は疑わないし、

そのような国への渡航歴を告げて、

もしかしたらマラリアかもと思っても、

一般の病院は、マラリア治療に慣れていない。

 

そういえば、スリランカ駐在時、

高熱があり調子の悪い友人が病院に行った。

風邪と診断され、処方された薬を飲むものの

一向に回復しない。

それで、二軒目の病院に行ったけれど、ここでも風邪と診断された。

 

その時までには、デング熱にかかったことのある共通の友人ルフォが、

それは絶対にデング熱だ! 賭けてもいい!

デング熱説に自信満々だった。

 

病院に風邪と言われているので、

デング熱説に半信半疑だった友人、

もう1か月以上絶不調だったので、

更にもう一軒病院をはしごした。

 

そして、遂に三件目にして、デング熱と診断された。

デング熱と確信していたルフォは、大きくどや顔。

でも、デング熱は特に薬がある訳でもなく

十分水分補給し、安静にして回復を待つしかないのだけれど。

 

スリランカデング熱は珍しくないのに、

なぜ病院がすぐにデング熱と診断しなかったか不思議だが、

このように診断が正しくないと、

見当はずれの薬を処方され、まじめにせっせと服用しても、

病気は治らないどころか、

最悪、死に至ってしまうことだってあり得る。

 

デング熱だって、マラリアだって、死に至る。

 

実際、私はアフガニスタン駐在時に一番仲の良かった同僚ジョエルを

マラリアで亡くしている。

彼がスーダンに転勤となってからの出来事で、

急の訃報にとってもショックを受けた。

 

緊急人道支援の現場にいると、

悲しいけど、同僚や知人の死に直面することもある。

ジョエルの様に病気もあれば、

テロの犠牲になってしまうことも。

 

だから、自分の身は自分で守るという姿勢は、とっても大切。

 

マラリアも、マラリア原虫を媒体するハマダラ蚊が活発化する

夕方から夜間、明け方にかけては、

できるだけ肌を露出しない、虫よけスプレーを使う、寝る時は蚊帳を使う、

などなど、

100%防護はできないかもしれないけど、

確実にリスクを減らすことはできる。

 

リスクを減らす、安全管理の重要な考え方。