海外支援従事者のひとり言

アジア、アフリカ、中東と緊急人道支援で渡り歩き、合間合間で旅に出る、半ノマド生活を送るパルワナが、海外支援で思うこと、旅の話、世界のこと、日本のことについて独り言ちます。

今日は世界難民の日です

日本ではあまり馴染みがないかもしれないけれど、

今日は世界難民の日

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の高等弁務官

日本向けにメッセージを発していた。

www.youtube.com

 

世界難民の日は2000年の国連議決により制定され、

20年が経過した。

その間、世界の難民の数は増え続け、

10年前の倍にもなっている。

ますます世界は、自宅で安全に暮らせなくなっているという

悲しい現実だ。

 

UNHCRは世界難民の日の前に

難民の世界傾向の報告書を発表する。

www.youtube.com

 

2019年、家を去り避難しなければならなかった人々の数は7950万人。

その内、国内避難民(IDPs: Internally Displaced Persons)と呼ばれる

自国内で避難した人々は4590万人、

難民と呼ばれる、国外に逃げざるをえなかった人々は2600万人。

 

なんと、オーストラリアの人口とほぼ同数の人々が、

自国にいては命の危険を感じ、身を守るために国外脱出している。

 

難民数トップ6のうち、最多の660万人が難民となっているシリア。

イラクでシリア難民支援事業に従事した。

2011年にシリア内戦が勃発し、イラクに9か所難民キャンプが設置された。

既にキャンプは町化している。

祖国を知らない子供たちもたくさん生まれ、

現在も約25万人のシリア難民がイラクに滞在していて、

1年以内にシリアに帰国する意思を持つ人達はわずか2%。

 

それで、UNHCRではシリア難民支援方針として、

受け入れ側の地元のコミュニティ(ホスト・コミュニティと呼ばれる)と一体化した

包括支援事業を行っていこうとしている。

 

難民数第3位はアフガニスタンで270万人。

この国では、タリバン政権崩壊直後の2002年から、

Back to Schoolキャンペーンと呼ばれる教育事業と、

教育分野での食糧配給事業、

学校での食糧配給や教員の給与の一環としての食糧配給などを

担当した。

アフガニスタンでは国内で緊急事業に携わったので

国外避難した難民支援ではなかったけれど、

国の再建のために、どれもが重要課題である中、

優先順位をつけて対応していかなければならなかった。

 

難民数代6位はミャンマーで110万人。

2013年から軍事政権が徐々に国を開き始めたため、

難民が帰還するのではないかという想定のもと、

帰還民支援のため、安全な飲料水を供給する

井戸掘り事業を担当した。

蓋を開けてみたら、経済的要因、治安要因などで

余り帰還が進んでいないのだけれど。

 

(難民数第2位はベネズエラで370万人(ちょっと意外)、

第5位は南スーダンで220万人)

 

振り返ってみると、

ホット・スポットで働いているのだなぁと気づく。

 

でも、私は日本という平和で快適で便利で、

帰りたいと思えばいつでも帰れる場所がある。

そんなセーフティ・ネットがあるから頑張れる。

 

難民はIDPsには帰る場所がない。

 

日本時間で今日の世界難民の日が終わるまでの30分間

難民に思いを馳せてもらえたら嬉しい。