昨日書いたように、今年は7月30日から多くのイスラム教の国で
犠牲祭の祝日が始まっている。
昨日書いたように、この季節メッカの巡礼に行くのが
イスラム教の義務のひとつであり、
また羊を屠って皆で分け合うというのが習慣になっている。
なので、犠牲祭と羊は切っても切れない関係なのである。
イスラム教教徒は2019年推計で世界に19憶人。
その人たちが羊を食するのだから、
すごい数の羊が必要になるだろう。
そして、羊の主要供給源の一つがソマリアなのらしい 。
アフリカの角と呼ばれる、
アフリカ大陸東部のピンと飛び出た角の部分。
ずっと国内紛争が続いて、国がほとんど機能していないソマリア。
私は、そのソマリア人難民のためのダダーブ難民キャンプで、
仮設住宅建設事業に携わっていたことがある。
ダダーブはソマリアとの国境からケニヤ側に50Km程入ったところに位置する。
その難民の母国ソマリアが家畜輸出国ということには今日まで思い至らなかった。
余り雨も降らず乾燥して土地も痩せているという
沙漠なイメージがあるけど、
確かに、遊牧民なイメージもある。
ググって見たら、確かに、主要産業の一番手に畜産業
(ラクダ、羊、山羊、牛等)とあった。(*)
イードでものすごくたくさんの羊が消費されるから、
例年、一番の稼ぎ時なのだけれど、
今年はコロナウイルスのせいで、
メッカへの巡礼者がたったの1000人。
例年、メッカで巡礼者のために振る舞われる羊肉のニーズが
250万人分から1000人分に大激減してしまっている。
家畜の輸出の3分の2近くを占める大お得意様なのだけど、
世界銀行によると、今年は輸出が半分になってしまうと見込まれている。
全輸出高の4分の3近くを占める家畜を今年は輸出できず、
だぶつく供給が
国内の羊の市場価格を半分にも引き下げてしまった。
更に、売れずに手元に残った羊の群れを
次に売れるであろう来年のイードまで世話するのにも、
多大なるコストがかかってしまう。
遊牧民にとってはトリプル・パンチだ。
サウジアラビアのメッカ巡礼の制限が、
ソマリア経済に多大なる影響を及ぼすなんて。
グローバル経済の弊害だ!
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/somali/data.html