海外支援従事者のひとり言

アジア、アフリカ、中東と緊急人道支援で渡り歩き、合間合間で旅に出る、半ノマド生活を送るパルワナが、海外支援で思うこと、旅の話、世界のこと、日本のことについて独り言ちます。

難民映画祭

ネットサーフィンをしていて

UNHCR難民映画祭のサイトに行き当たった

今年もその時期が来たんだなー。

www.unhcr.org

 

秋に日本にいた時、何度か映画祭で映画を見たことがある。

もともと映画が大好きだし、

ハリウッドでも日本映画でもない

意外な国が舞台のちょっとマイナーな映画を見ると、

自分が映画通になったような気分にもなれるし、笑

 

というヨコシマな理由は置いておいて、 

やっぱり国際緊急人道支援に関わっているものとして、

世界の状況を

映画を通じて知りたいという気持ちが一番強い。

 

UNHCR難民映画祭は、

国連高等弁務官事務所(UNHCR)が主催する

2006年から始まった映画祭で、

難民一人ひとりの物語を日本に伝え

日本人が難民問題への認識を高めるために、

開催されている。

 

「UNHCR WILL2LIVE ムーブメント」として、

映画や音楽を通じて、難民の生き抜くチカラを発信し、

日本中に共感と支援の輪を広げている。

 

今年はコロナ禍の中、

中止ではなく、オンラインで開催してくれるのが嬉しい。

unhcr.will2live.jp

 

上演は次の6作品。

 

1.ザ・ケーブ(シリア)

2.安住の地を求めて ~LGBTとして生きる~(アメリカ)

3.ソニータアフガニスタン

4.女を修理する男(コンゴ民主共和国

5.アレッポ最後の男たち(シリア) 

6.ナディアの誓い -On Her Shoulders(イラク

 

4.のコンゴ民の婦人科医ムクウェゲ医師と

6.のヤジディ教徒のナディア・ムラドさんは

2018年、一緒にノーベル平和賞を受賞している。

 

ムクウェゲ医師は、コンゴ民内戦下でレイプ被害にあった女性達の治療、

精神的ケアと啓蒙活動に尽力し、

ナディアさんは、イラク少数民族ヤジディ教徒の女性が多数被害に遭ったように

自身もイスラムに捕らえられ、性奴隷となった。

 

2作品ともそれぞれの活動を追ったドキュメンタリー。

 

ナディアさんの映画は以前見たことがある。

正直、ナディアさんの深い心の傷と苦悩が辛い映画だった。


映画『ナディアの誓い-On Her Shoulders』予告編

 

5.の『アレッポ最後の男たち』は

イラク駐在中の2018年、現地のドホーク国際映画祭で見る機会があった。

www.youtube.com

 

シリアの内戦で被災した人々を救助する団体「ホワイト・ヘルメット」で

活動するメンバーを追ったドキュメンタリー。

戦闘の中で「救助」という戦いを戦っているメンバーの話で、

こちらも、辛く苦しく、怖かった。

怖いのは爆撃。それに立ち向かい救助を続ける男たち。

 

これが、世界で実際に起こっている現実なんだ。。。

戦争と平和、生きることについて

深く考えさせられる。

 

一年に一回、映画を見て世界の現実を直視し、

一生懸命考える機会があってもいいと思う。

難民映画祭、間違いなくそんな機会になる。

 

そして、欲を言えば、

映画を見た人が、一年に一回、映画祭の時だけ

難民のこと、世界で起きている戦争のことをを思い出すのでなく、

日々、世界で起こっている現実として

頭の片隅にいつも留めておいてもらえたら、

世界は少し変わる第一歩となるかもしれない。

 

映画祭は12月10日まで実施中。