海外支援従事者のひとり言

アジア、アフリカ、中東と緊急人道支援で渡り歩き、合間合間で旅に出る、半ノマド生活を送るパルワナが、海外支援で思うこと、旅の話、世界のこと、日本のことについて独り言ちます。

イラクのキリスト教の町・アルコシュ

前回、ローマ法王の初イラク訪問について書いた。

parwana.hatenablog.com

 

イラク南部のウルはキリスト教ユダヤ教イスラム教の共通の祖アブラハム生誕の土地と紹介したけれど、

イラクにはキリスト教が栄えた場所がいくつもある。

 

例えば、北部ニネワ県アルコシュ。

ニネワ県と言えば、州都はイスラム国が攻めてきて

イスラム国の大きな拠点となったモスル。

アルコシュは同じニネワ県に位置し、

やはりイスラム国が攻めてきたけれど、

すんでのところで民兵が死守した。

 

そんなアルコシュは世界で最も古いキリスト教の町の一つで、

今も住民のほとんどがクリスチャンだ。

いくつかある教会や修道院の中で、

目玉は640年ごろに建設されたと言われるホルミズド修道院

 

世界史好きの私。訪れないないにはいかない!

ある週末に現地スタッフに連れて行ってもらった。

 

おお、すごい!

岩壁にそそり立つ石造りの建物!

小さな小部屋がいくつもあり、

ここで修道士が黙想していたんだなぁと

感慨深く歴史に思いをはせた。

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この入り口の一番上の文字、一緒に行ったクルド人も読めないんだって!

アッシリア語らしい。

 

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アッシリアって言ったら、世界史の授業で出てきた

あのアッシリア帝国アッシリア?!

世界史と『王家の紋章』(*)でしかお目にかかれない

過去の民族っていうイメージだった。

 

私の事務所の現地職員の中にもアッシリア人がいて、

あの『王家の紋章』出てくる

獰猛なアルゴン王の帝国の末裔なのね!

なんて感動したのだけれど、

アッシリア文字まであったのね!

 

ちなみにアッシリア帝国首都ニネヴェは

現在のニネワ県県都のモスルだ。

アルコシュの住民もほとんどアッシリア人らしい。

 

中東って砂漠とイスラム教と戦争の地ってイメージだけど、

何千年もの歴史中で民族や宗教の興亡が繰り広げられた舞台だなんて、ほんと奥深い!

 

(*)『王家の紋章

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 1976年から(!)月間プリンセスに連載され、まだ連載中(!)の少女漫画。アメリカ人ティーンエイジャーでエジプト考古学が大好きな主人公キャロルは、呪いがかかって古代エジプトにタイムスリップし、エジプト王メンフィスと愛し合うようになる。古代エジプトのお話だけれど、当時のメソポタミア、トルコ、東地中海、北アフリカなど近辺諸国との駆け引きや戦いにハラハラ・ドキドキ! そして、私が駐在していた場所がまさにこの舞台の一部なんて大興奮!