海外支援従事者のひとり言

アジア、アフリカ、中東と緊急人道支援で渡り歩き、合間合間で旅に出る、半ノマド生活を送るパルワナが、海外支援で思うこと、旅の話、世界のこと、日本のことについて独り言ちます。

多民族国家ミャンマーの難しさ

今年の2月に軍がクーデターを起こしたことで

世界的に注目を浴びている国、ミャンマー

 

しばらく前(2015年頃から)は

ミャンマーロヒンギャが国際的に注目された。

それまでにも発生していたロヒンギャに対する迫害が激化し、

何十万というロヒンギャ難民が

隣国バングラティシュに逃げまどった。

現在でも90万人以上のロヒンギャ

住み慣れた土地に帰れないままでいる。

 

ロヒンギャミャンマー少数民族

イスラム教を信仰している。

仏教国であり大多数の90%が仏教徒であるミャンマー

ロヒンギャは、

なんとバングラディシュからの不法移民とみなされて

国籍をはく奪され、存在を否定されている!

2014年、私のミャンマー駐在中に全国国勢調査が31年ぶりで実施されたけど、その時もロヒンギャは調査対象外となった。

 

日本では民族や宗教が社会問題化することは皆無だけれど

アイヌや沖縄を少数民族と見る見方もある)、

他民族で構成される国では、

民族や宗教問題は非常に微妙で複雑。。。

 

ミャンマーは実に135もの政府公認の民族で構成されている。

問題ないわけない。。。

 

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ミャンマーの主要民族分布図*

 

私が駐在していたミャンマー東南部カレン州は、

主要8民族に数えられる少数民族

カレン族のホーム・グラウンド。

そんなカレン族

1948年のミャンマー独立直後からミャンマー政府と対立し、武力闘争を続けている。

 

2011年軍事政権が民政化し、徐々に国が開け民主化の兆しが見えてきたミャンマーに私が駐在したのは、

民族紛争により難民となって隣国タイに逃げた人々が、

民主化の波に乗って祖国に帰ってきた時に

安全な水という基礎インフラを提供できるよう、

井戸設置・修繕事業を行うため。

そんな時期にも、

政府と少数民族は和平合意に至ることはなかった。

 

カレン族だけではなく、

カチン州のカチン族、ラカイン州ラカイン族などなど

少数民族軍事組織は20程あり、

それぞれが自治や独立を要求して政府と衝突している。

実はロヒンギャにも武力勢力がある。

(もちろん、武力勢力と少数民族の大多数の一般の人々は

同一ではないので、誤解しないでくださいね!)

 

今、ミャンマーで軍事クーデターが発生し、

少数民族部族勢力は市民の抵抗活動への支持を表明している。

また、各地少数民族と国軍の武力抗争が激化していて、

国連も内戦化する危険性があるとさえ見ている。

 

そんな状態に陥らないことを願っている!

 

*ミャンマー 民族分布地図 - Bing images