海外支援従事者のひとり言

アジア、アフリカ、中東と緊急人道支援で渡り歩き、合間合間で旅に出る、半ノマド生活を送るパルワナが、海外支援で思うこと、旅の話、世界のこと、日本のことについて独り言ちます。

その眼科医、タダ者でない!

日本のお役所の住民サービスって素晴らしい。

毎年無料で健康診断が受診できるし、

1年おきに無料もしくはワンコインで

婦人科系検診のお知らせが来る。

各種がん検診だって実施してる。

税金が生かされていて、ありがたい。

 

今年は節目の年で、

更に歯周病検診やら眼科検診のお知らせが来た。

もちろん無料かワンコイン。

 

普段は職場の健康診断を受診しているから、

地元の病院をほとんど知らない。

それで今回、

近所の眼科医院を開拓することにした。

 

地元の病院分かってないと

いざ緊急の時に困るもんね。

 

歯医者さんもそうだけれど

眼科医院も結構あるなぁ。

どの病院がよさそうか

インターネットで口コミをチェックする。

 

「建物は古いけどお医者さんは丁寧で腕は確か」

と評判の良い眼科医院に行ってみることにした。

 

視力検査をしてくれた気さくな看護師さん、

ベテランぽくって安心できる。

 

話の流れで、私が中東に駐在していたと言うと、

そばに座っていた眼科医先生

大きく反応して、

「おお、中東か。シリアの大統領は眼科医なんだよ。

俺と同業者だ、笑。」

なんて言うではないの。

 

えー!?

この眼科医先生、なんでそんなこと知ってるの?!

 

まさにシリアのアサド大統領、

大統領になる前は眼科医だった。

 

2011年に勃発した内戦がまだ終結していないシリア、

世界最大数の650万人もの難民が発生しているシリア、

すっかり忘却の彼方となってしまっているシリアの

大統領が誰かさえ知らない人も多いだろうに。

 

眼科医先生、

「オレ、親が医者で、医者にはなりたくなかったんだけど、

親が医者になれって言うからさ。

だから、医学部に合格したら世界一周させてもらうことを条件に

医学部受けて

それで世界一周に行ったんだよ。

中東にも行ったよ。」

だって!

 

時は1960年代、

世は学生紛争やヒッピーが世を賑わせていた頃。

まだ通貨は固定為替相場制で、1ドル360円の時代。

大卒初任給が1、2万円の時代に何百万円の世界旅行したんだって!!

 

インターネットのないその時代に

訪問国の情報だって入手は難しいだろうに。

現地で言葉はどうしたんだろう。

すごい医者やー!!

 

眼科医先生「君、すごいねー。そんな国で働いてたなんて。」

私「いやいや、その時代に世界一周する先生の方が只者でありません!」

 

眼科医先生に気に入られたようで、

「まあ、今日は暇だから

検診の対象外だけどいろいろ検査してあげるよ。

サービスだ!」

と言って検査してくれた。

ありがたや!

 

お陰様で歳相応に目が元気であることも分かったし、

思いがけず、

眼科医院でアフリカや中東の話で盛り上がり

久しぶりに、マニアックな楽しい時を過ごした。

眼科医院で楽しい時、笑。

 

待っている患者さんは全くいなかったのに、

目に全くの異常もなかったのに、

医院で費やした時間、約一時間、笑。

 

いやー、雑談って楽しいな~。

 

追伸:

銀幕の名作『カサブランカ』で知られた

ロッコの都市カサブランカ

眼科医先生、カサブランカにも訪れたのだそう。

 

カサブランカの名前の由来は、

スペイン語でカーサ(家)、ブランカ(白い)なのだそうだ。

先生、私それ知りませんでした。

さすがです!