海外支援従事者のひとり言

アジア、アフリカ、中東と緊急人道支援で渡り歩き、合間合間で旅に出る、半ノマド生活を送るパルワナが、海外支援で思うこと、旅の話、世界のこと、日本のことについて独り言ちます。

日本の若者とガザ地区の若者の思いがけない共通点

普段の生活の中で

 20代、30代の若者と呼ばれる世代の人々と

余り接点がないのだけれど、

最近その機会があり、衝撃を受けた。

 

噂には聞いていたけれど、

こんなに日本に絶望感を抱き、

日本に対して無気力感を感じているなんて。

こんなに守りに入っているなんて。

 

日本はもう衰退していくしかないのだから

その現実は受け止めて、

少なくとも自分の周りだけは確実に死守する、と。

日本衰退の悪影響を回避することは不可能だけれど、

できるだけその波が自分に到達するのが

遅く小さくなることに全労力をつぎ込む、と。

 

日本は今こんな状況だから、

日本を良くしたいとか

社会貢献しなきゃとか

そういう気持ちはないらしい。

自分の身を守ることに全精力を注ぐんだって。

それ以外の余力はないんだって。

 

そして、衰退しかない日本の現実を見ると辛いから、

Youtubeや韓流ドラマや投げ銭や、

そんな現実逃避に走るんだって。

 

これって、パレスチナガザ地区で聞いた話に似てる?!

 

2014年のイスラエルの攻撃で被災したガザ地区

パレスチナ人への緊急人道支援事業を実施していた。

 

事務所をエルサレムに構え、

定期的にガザ地区を訪問していたのだけれど、

『天井のない監獄』*1とも呼ばれるガザ地区に行く度、

なぜか気分が塞ぎ込んだ。

まぶしい太陽が燦燦と輝き、地中海が目の前に広がる

一見リゾートなのに。。。

 

若者はお金がないから結婚もできないし、

自殺率も上昇していると聞いた。

 

「一時的に数日訪問する私でさえ気が滅入るのに、

ガザの人々はどうやってこのガザの状況を

受け止めているの?」

 

ガザ地区の現地職員に質問したことがあった。

 

曰く、

現実を直視するのは辛すぎるし、絶望的すぎるから、考えない。と。

これは精神の安定を保つための処世術なんだ、と。

 

心理学的にも

人間には

辛すぎる感情・経験を意識から締め出すために

抑圧という防衛機制が備わっている。

 

今は経済発展著しく勢いのあるインドも

何十年も前は発展途上国と呼ばれ、極貧の人も多かった。

それで精神を病む人も多かったと聞いたし、

現実逃避のために

空想・仮想世界であるボリウッド映画が大人気なんだと

聞いたことがあった。

 

命の危機と隣り合わせのガザと日本を比べるのは

ガザの人々に申し訳ないけれど、

でも、この日本の状況、真面目にまずい!

 

私の周りの限られた範囲では、

若者世代の同僚は

世の中良くしたいって気持ちを

もう少し持っているんだけどなぁ。。。

 

人道支援を志すような人種はもはや例外的?!

 

私、国際緊急人道支援を生業にしているのに拘わらず、

実は日本政府が海外支援に

多額の税金を投入するのには反対している。

 

こんな時は猶更

人の国に多額の支援している場合じゃないんじゃないですか、岸田首相!

って思ってしまう。。。

*1:イスラエルガザ地区から人や物の出入りを厳しく制限していて、ほとんど封鎖状態となっている。ガザの人々は高失業率、貧困状態に直面し、希望を持てない状況が15年も続いている。ガザの気の滅入る状況、こちらご参照下さい。

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