海外支援従事者のひとり言

アジア、アフリカ、中東と緊急人道支援で渡り歩き、合間合間で旅に出る、半ノマド生活を送るパルワナが、海外支援で思うこと、旅の話、世界のこと、日本のことについて独り言ちます。

『タイニー・ソウルズ(Tiny Souls)』

先週、友人に映画に誘われた。

『タイニー・ソウルズ(Tiny Souls)』

ふーん、シリア難民のドキュメンタリーなのかぁ。

ヨルダン大使館が主催してるの?

ちょうどUNHCRも難民映画祭やってるし

関連してるのかな?

parwana.hatenablog.com

 

映画の舞台、ヨルダンのザアタリ・シリア難民キャンプ(*)には行ったことがない。

見てみたいな。

 

ということで、『タイニー・ソウルズ(Tiny Souls)』見てきました。

 

私は北イラクで難民支援をしていたので、

イラクに9か所あるシリア難民キャンプには

全部に何度も足を運んでいる。

 

難民キャンプって

国によって、場所によって、

受入国の社会・経済状況も、難民の生活様式も、支援資金の量も違っているから、

キャンプの様子もそれぞれ。

 

でも、映画の中の隣国ヨルダンのシリア難民キャンプは、

まるで北イラクの難民キャンプのような雰囲気だった。

 

いろいろな思い出が蘇る。

実施していた事業のこと、仕事のやりがい、そしてストレスも!

f:id:Parwana:20201206191240j:plain

イラククルド自治区のシリア難民キャンプの一つ

ドミズ難民キャンプ

 

難民キャンプ

最初は何千、何万と押し寄せる難民に

受け入れ国が場所を指定し、

UNHCRやUNICEFなど国連機関や国際NGOなど人道支援団体が調整しながら

取り急ぎ、雨風しのげるテントを設置し、

食糧や水、生活必需品を配布して、

クリニックや学校など運営しながら

緊急支援を行う。

 

難民はなかなか祖国に帰れない。

 

シリア難民も、

長い人は2011年のシリア危機が勃発してから9年も国に帰れない人もいる。

 

それで、キャンプの居住環境も徐々に改善されていく。

 

ターポリンのテントは、

雨風による劣化で割けたり破けたりすると

応急処置として新しいターポリンを配布したり

テントを立て替えていたのが

f:id:Parwana:20201206192200j:plain

ドミズキャンプ(2015年)

奥にアップグレードしたブロックを用いた仮設住宅が見える。

正面のテントも最終的に立て替えられた。

 

徐々に仮設住宅として

ブロックなどの強度の高い材料で耐久性のある住宅にしていく。

 

映画の中でも、月日が流れ

居住環境が改善していくのが見て取れる。

 

町も形成されていく。

 

元々はテントだけが立ち並ぶ殺風景なキャンプも、

お店ができてきて、

コミュニティ・センターや公園など現れる。

イラクの難民キャンプには、

プールバー、水たばこカフェ、結婚式場や葬儀場まであった。

キャンプ内を歩いていると、普通の町中を歩いているような気分になる。

 

こうやって、難民は不安定な状況ながらも

避難先での生活をできる限り安定させていく。

 

映画では難民家族が

兄弟喧嘩をしたり、楽しそうに恋愛の話をしたり、

離れて暮らす家族とオンラインで話をしたり、

そんな日常が繰り広げられていた。

 

しかし、終盤、思いがけない出来事が。

 

ドキュメンタリーで

監督がランダムに選んだシリア難民家族だったのだろうに

こんなドラマのような展開が待ち受けていたなんて。

 

この映画、劇場公開されないのかな?

難民の状況、難民キャンプの様子を垣間見るのに

とってもいい映画だと思う。

 

こちらで予告編が見れます。

www.mediasupport.org

 

こちらは、私が参加したヨルダン大使館主催映画上映会のニュース動画。

私もちらっと写ってました、笑。

(インタビューされてる人ではありません!)

www.arabnews.jp

 

映画上映前に

ヨルダン大使とJICAの代表の方、UNHCR日本代表が

挨拶したのだけれど、

ヨルダン大使とUNHCR日本代表は女性!

こうやって活躍する女性を見るのは嬉しい。

日本も頑張れ!

 

(*)ザアタリ難民キャンプ 

シリア国境から数キロのヨルダン北部に位置する、最大のシリア難民キャンプ。現在は約8万の難民が生活している。