海外支援従事者のひとり言

アジア、アフリカ、中東と緊急人道支援で渡り歩き、合間合間で旅に出る、半ノマド生活を送るパルワナが、海外支援で思うこと、旅の話、世界のこと、日本のことについて独り言ちます。

日本人なのにアメリカに行くのにビザが必要なんです

ワラビスタンに一緒に行ったお友達のまるちゃん、

アメリカのビザを取らなければ、と言う。

日本人はESTAを申し込んでいれば、

3か月までの滞在ならばビザはいらないのだけれど、

まるちゃん、私同様、イラクに滞在歴があるのです!

 

アメリカ政府は2016年から、アメリカ入国制限を更に強化した。

2011年3月以降、イラン、イラク北朝鮮スーダン、シリア、リビアソマリア、イエメンへの渡航歴のある者、またビザ免除国の国籍と共に、イラン、イラク北朝鮮スーダン、シリアの二重国籍を持つ者、はビザ免除が適用されず、ビザを取得しなければならない。

 

私は2016年はイラククルド自治区に駐在して2年目、

クルドパレスチナと日本を毎月ぐるぐる回っていた。

回りすぎて、自分が今どこにいるのか一瞬考えないと分からない時もあったくらい。

そんな生活だったので、私のパスポートにはイラク出入国のスタンプが

たくさん押されている。

(そのせいで、パレスチナに行くのにイスラエルに入国する際、

毎回、厄介でした。。。汗)

 

2016年2月のアメリカへの出張の直前に、

そんなイラク渡航歴のある者へのビザ免除制度不適用の規定が発表され、

でも、私は人道支援従事者だし、例外的に認めてくれるでしょ。

なんて、楽観的な道理が通用するかどうかなんて、

旅行代理店も、イラク日本大使館も、在日アメリカ大使館も、

誰も答えを教えてくれない!

どこに問い合わせても

『ケース・バイ・ケースで何とも言えない。』と言われるのみ。

しかも新しい規定で、前例もまだほとんどないくらいの時期だったし。

 

イラクでなんて、アメリカのビザを取るのはおおごと。

それで、アメリカ出張前の日本への出張中の数日の間に、

在日アメリカ大使館で大至急のビザ発給を懇願しながらビザを申し込んだ。

 

アメリカのビザを取得するには、アメリカ大使館での面接が必要となる。

イラクのスタンプがたくさんあるパスポートを持つ身として、

ドキドキしつつ面接に臨んだ。

面接官が意地悪だったり厳しかったら嫌だなぁ。。。

 

私の番が来て、面接官と向き合った。

爽やかに笑顔で迎えてくれる面接官は、典型的愉快なアメリカ人像。

(私のバイアス入ってます、笑)

 

アメリカへの渡航目的、ビザ申請の理由、イラク滞在の理由など聞かれた。

イラクには人道支援のために駐在しています。

イスラム国に追われたシリア難民や国内避難民のため、様々な事業を

実施しているんです。本当に多くのニーズがあり、人々は大変な生活を強いられているので、自分の仕事の大切さをかみしめながら、やりがいを感じながら仕事をしています。」

 

なんて言ったら、爽やか面接官、

「偉いね! 素晴らしい仕事だ! 君には10年マルチ・ビザをあげよう。

パスポートが切れても、ビザは期限が来るまで有効だよ。」

だって!

 

いとも簡単に10年マルチ・ビザを頂けることになってしまった。

拍子抜けしたけど、とってもありがたい!

 

本来ビザは、発給されてパスポートが手元に戻ってくるまでに、

1週間はかかるのだけれど、

私は出張が迫っていたため、大至急の発行を懇願し、

アメリカ大使館の担当職員に嫌味を言われつつも、

翌日にパスポートが手元に戻ってきた。

よかった!! しかし、早すぎ!!

何事も無理にお願いしてみるものである。

 

さて、まるちゃん。                                                    

まるちゃんは、このコロナウイルス混乱の中、

アメリカ大使館での待ち時間もほとんどなく、

まるちゃんも無事10年マルチ・ビザをゲットできたとのこと。

やったね、まるちゃん!